医学部再受験をしようかと思い立ってから、多くの悩みにぶち当たるでしょう。
そのうちの一つが、「今の自分の年齢で再受験をすることが本当によいのか」というものです。
(実際に筆者もアラサーで医学部再受験を決断したため、この点はかなり考え抜きました。)
結論から言うと、医学部再受験に何歳まで合格するかという問いについては、「一概には言えない」ということになります。
この問いは様々なことを包括的に検討して結論を出す必要があります。勘案すべきことの中には個人により異なることも多いため、一人ひとりのこの問いに対する回答は異なるということです。
ですが、そういった勘案すべきポイントを提示することで、「今の年齢で再受験をすることが本当によいのか」という問いに対する回答に少しは近づけるのではないでしょうか。
私は実際に今回提示するポイントを自分なりに整理して、医学部再受験に臨み、働きながら国立医学部に合格しています。
その意味で、ある程度説得力のある記事になっていると思います。
また、私の周りにいる実際に再受験を経て医学生になった方々の略歴を紹介します。大体どれくらいの学力がある人が再受験に合格しているのか、実際に見てみると難易度や自分の合格可能性の目安になるのではないかと考えました。
なお、長くなるので「医学部を再受験して受かるのか」と「そもそも医学生・医師としてやっていけるのか」という2グループに分けて論点を整理しています。今回は前編ということで、前者「医学部を再受験して受かるのか」にフォーカスして論じます。
医学部再受験を考えている方はご一読いただければ幸いです。
前提:再受験に厳しい大学を選ぶべきではない
例えば面接で一発不合格になるような大学や、一般に再受験に不寛容であると言われている大学をわざわざ志願すべきではないでしょう。たとえ何歳であっても、あなたの努力次第で入れる可能性のある大学を受験すべきです。
また、こちらの記事でも書いていますが、いたずらに高偏差値の大学を受験すべきではないです。多くの再受験生にとって、高偏差値の医学部に入学・卒業することよりも、1年でも早く医師になることの方が重要ではないでしょうか。
ポイント:個人の元々の学力と才覚次第(事例付き)
率直に言って、受験して受かるかどうかなんてその人の持っている能力やどれだけ努力できるかといったことに大きく依存しているのは間違いないです。
そうはいっても、ある程度の事例を見ることでいけそうかどうか見当をつける、ということはできるかもしれません。ということで、以下で私と周りの再受験生の出身大学や再受験の取組み状況についてお伝えします。
私の場合
国立文系出身でしたがそれなりの基礎学力があったため、英語・国語・社会に関してはほとんど勉強する必要がありませんでした。数学も現役時にはセンター試験でほぼ満点を取れていました。(数Ⅲは未修)
なので、数学と理科の勉強に9割以上のリソースを割くことができました。
このような下地があったので、2年弱かかりましたが働きながらでもなんとか合格することができたのだと思います。
私の周りの事例
私は現在、一般に再受験に寛容と言われている大学に在学しています。
そのため、周囲にもそれなりの数の再受験生がいます。
彼らが以前在学していた大学等を例示します。(すべて私と同じ大学を一般入試で再受験しており、編入生は含んでいません。)
入学時の年齢 | 前の大学 | 受験期間 | 備考 | |
A | アラサー | 早慶・工学部 | 2年 | 仕事を辞めて専念 |
B | 20代前半 | 早慶・文系 | 2年 | 卒後、働かずに専念 |
C | アラサー | 私立・獣医 | 1年 | 在学中に再受験 |
D | アラサー | 関関同立・工学部 | 2年 | 仕事を辞めて専念 |
E | 20代前半 | 国立女子大・理系 | 2年 | 在学中に再受験 |
F | 20代前半 | 私立・薬学部 | 4年 | 在学中に再受験 |
G | アラフォー | 京大・工学部 | 2年 | 仕事を辞めて専念 |
H | アラサー | 私立女子大・理系 | 2年? | 仕事を辞めて専念 |
I | アラサー | 関関同立・文系 | 3年 | 仕事を辞めて専念 |
ご覧になってわかるとおり、働きながら受かった方は私の周りには私以外はいません…
ということで、働きながら合格するにはそれなりの素地かかなりの胆力あるいはその両方が必要と思います。
一方で、働かずに勉強のみに専念した場合、関関同立レベルからでも合格していることから、随分門戸が広くなった気がします。
逆に言うと、それ以下の偏差値水準の大学からの再受験生には会ったことがありません…
注意点
私は医学部再受験に失敗した方の情報は収集していません。したがって、どういう属性の方が落ちたのかは把握していません。
完全に主観ですが、おそらく関関同立レベルでは再受験に成功した方よりも最終的に合格せずに撤退した方のほうが多いのではないかと思います。
ポイント:加齢による脳の老化は無視できない
私はアラサーで再受験しています。このときに感じたのが、計算力等の数学力の著しい低下です。私は元々数学は文系出身とはいえセンターで満点近く取るくらいには得意だったのですが、アラサーになってからは数学は完全に苦手科目と化していました。
一方で、国語力は向上していました。特に国語の勉強をしていたわけではないのですが、文章や法律をよく扱う仕事をしていたため、根拠に基づいて文章を読み解くセンター国語には無意識のうちに強くなっていたのかもしれません。
メリデメ双方ありますが、医学部合格に必要なスキルは主に理系科目なので、現役時よりも成績が落ちうるということは認識したほうがよいかもしれません。
まとめ
何歳までであれば医学部再受験に合格するか、というのは一概には言えないという結論でした。ただし、事例を見たりポイントを押さえることで、自分がいけそうかダメそうかを考慮するヒントになったのではないかと思います。
後編では医学部に合格した後にやっていけるのは何歳までか、という点について記載しますのでそちらもご覧になっていただければと思います。
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